STORY
開発秘話
エプロンなんて、ないほうがいい。
そんな矛盾から生まれたエプロンのお話。
最高のエプロン。
それが何なのか、私たちもまだ正解にはたどり着けていません。
しかし、赤ちゃんが主役になれる、ひとつの答えを見つけました。
その一部を、ここでお見せします。
ある親子のお話
私たちに子どもが生まれたとき、「手づかみ食べ(BLW)」という育児法が広まり始めていました。BLWとは「Baby Led Weaning」の略で、赤ちゃん自身に食べ物を持たせ、自分のペースで自由に食べさせる離乳の進め方のことです。これは子どもの成長に良いと思い、私たちも早速取り入れることにしました。
けれど、現実は想像以上でした。素直に食べ物をつかんで食べてくれると思いきや、ぐちゃぐちゃにして遊ぶ、投げる、食器ごとひっくり返す、服にこすりつける。毎日の食事が、ちょっとした格闘でした。
床にはふき取りやすいシートを敷き、テーブルには吸着する食器を使い……そして、一番悩んだのがエプロン選びでした。布製のスタイでは、赤ちゃんのダイナミックな食事を何も防いでくれません。樹脂製のビブは食べこぼしをキャッチしてお手入れも楽ですが、服の汚れまではカバーしてくれず、子どもが引っ張ればすぐに外れてしまいます。それに、実際に手に取ってみると意外と重い。赤ちゃんの体重に対する比率で換算すると、大人が2kgのダンベルを首から下げているような感覚に近いといいます。
完璧な手づかみ食べエプロン
そのころ流行っていた手づかみ食べ対応のエプロンも試しました。吸盤やゴムバンドでテーブルに固定するタイプは、たしかに食べこぼしも服の汚れも防いでくれて完璧でした。けれど、テーブルを覆うほど大きなエプロンを毎回洗って干すのは手間ですし、キャッチやバンドがついたものはそもそも洗いにくい。何より、食事のたびに赤ちゃんを座らせ、吸盤やバンドを装着している間、お腹を空かせた赤ちゃんが泣き叫ぶことも少なくありませんでした。防水性を持たせた生地はどうしても硬く重くなりがちで、赤ちゃんが動きづらそうにしている様子も見受けられました。手づかみ食べ本来ののびのびとした自由さを、エプロンの生地が妨げてしまっているのではないか、という気がかりもありました。
おむつ一丁、という選択
「これでは、どこも汚さないことと引き換えに、親の都合で赤ちゃんを我慢させているだけなのでは」――そう感じた私たちがたどり着いたのが、「おむつ一丁で食事をする」という方法でした。赤ちゃんが一番のびのびと、主体的に食事に向き合える。食べ終えたら、そのままお風呂に直行すればいい。実際にやってみると、赤ちゃんも私たちも自然と笑顔になりました。
ただ、裸で食事をさせることには、ためらいもありました。食事をするときに「おむつ一丁になる」ということが習慣になってしまうのではないか。また、上に兄姉がいる家庭は、特にその姿を見せることに抵抗があるかもしれません。暖かい季節はよくても、寒い季節には現実的ではありません。本当は、普段どおりの服のまま、エプロンなど何もつけずに食事をするのが一番いい。けれど、そうなると食事のたびに着替える必要があり、服のストックがいくつあっても足りなくなってしまいます。
ちょうどいいエプロンがあればいいけど、そんなエプロンは存在しない……
だったら、
自分たちで作ろう。
子どもが主体的に食事を楽しめることを何より大切にしながら、できるだけ親の負担も減らせるエプロンを。
「本当はエプロンなんてないほうがいい」
そんな矛盾から生まれたのが、
omoikane 手づかみ食べエプロンです。
形へのこだわり
羽織るだけ。肩で重みを受け止める。
まず考えたのは、形でした。普段の上着のように、さっと羽織れること。着脱がスムーズであれば、親の手間が減るだけでなく、赤ちゃんが食事を待つ時間も短くできます。肩全体でエプロンの重みを受け止める設計にしたのも、食事中の負担をできるだけ小さくするためです。
長袖・長い裾
コートと同じ。長いのには理由がある。
お手入れのことだけを考えれば、半袖で裾も短いほうが楽です。けれど、それでは手づかみ食べで舞い散る食べこぼしを防ぎきれません。だから裾は足先まで届く長さに、袖は長袖にしました。コートだって裾は長く、袖も長い。それと同じことだと考えています。その代わり、素材はできるかぎり軽いものを選びました。食べこぼしから服を守る最低限の撥水性は持たせつつ、薄く、軽く仕上げることにこだわっています。
色にも理由がある
カレーもナポリタンも、気にならない色。
カラーは、子どもの気が散りにくいシンプルな単色にしました。視覚的な情報が少ないほど、子どもは目の前のことに集中しやすいと言われています。しかも染料には、廃棄予定の食品由来のものを使っています。ワインとオニオン、2色展開です。この色を選んだのには理由があります。子どもの大好きなカレーやナポリタン、ケチャップは、繊維の奥まで色素や油分が入り込み、一度つくとなかなか落ちません。でも、ワイン(赤系)とオニオン(黄系)なら、多少のシミがついても目立ちにくいのです。
そして、ここからは少しだけ内緒の話。「どうしても」床に食べこぼしをさせたくない場面――外出先のレストランや、お友だちの家など――もあると思います。そんなときは、エプロンの裾に市販の吸盤を取り付ければ、お家だけでなく外出先でも安心して使えます。
本当は、エプロンなんてないほうがいい。それでも、全力で手づかみ食べを楽しむために、そばに置いておきたい一枚として開発したのが「omoikane 手づかみ食べエプロン」です。